鋳物部品を「削り出し加工」で作るメリットについて

2.渡邊製作所からのご提案

以上のようなメリットを踏まえ、「類似部品を鋳物で作っているから」という理由ではなく、
品質・コスト・納期・調達の安定性、といった観点で作り方を再検討してみてはいかがでしょうか。
当社は長年にわたり鋳物の加工と削り出し加工の両方で豊富な実績がありますので、
「鋳物で作るべきか、それとも削り出し加工で作るべきか」でお悩みの際はぜひ当社にご相談ください。
ここから先は、削り出し加工に適した当社の生産体制と、具体的な事例をご紹介します。

2.1.削り出し加工を実現できる生産体制

渡邊製作所では、立型・横型・門型などのマシニングセンタを計35台、NC旋盤・NC自動旋盤を計37台保有しており、
この豊富な設備ラインナップの中から、製品の材質や形状、大きさを考慮した最適な設備で削り出し加工が可能となっております。
また、削り出し加工を行う上で必要不可欠なCAD、CAMといったソフトウェアを保有し、
専属の技術者がNCプログラムの作成を行っているほか、治具の設計・製造にも対応しておりますので、
安心して削り出し加工をご依頼頂ける生産体制を構築しています。

2.2.選択肢としての削り出し加工

一般的に、削り出し加工という選択肢が少しずつ認知されてきているようですが、
主にコストの面から、まだまだ鋳物を選択するお客様が多いように思います。
確かに、コストだけを考えたら鋳物は有力な選択肢ではありますが、
長い目で見たときに本当に鋳物から作った方がコストメリットがあるのか、
立ち止まって考える事が必要ではないでしょうか。

今までのおさらいとなりますが、渡邊製作所では、以下のようなときは削り出し加工も有力な選択肢になると考えています。

  • 試作開発段階でトライアンドエラーを繰り返すとき
  • 生産数が少なく、鋳型の初期費用回収が難しいとき
  • 現在の鋳物部品の納期や品質に問題があるとき
  • 鋳型の老朽化や生産数量の減少により、従来通りの品質・コスト・納期での製作が難しくなったとき
  • 鋳型の管理にかかる間接工数や保管費などのランニングコストを削減したいとき

このように、鋳物で作るよりも削り出し加工の方がメリットがある場合がありますので、
それぞれのメリット・デメリットを総合的に検討された上で、最適な製造方法を選択することが重要かと思います。

2.3.事例紹介

ここでは、渡邊製作所で実際に鋳物から削り出し加工に切り替えた製品についてご紹介します。

 

製品名 取付台
サイズ 25×65×120
材質 アルミ:A5052
表面処理 メラミン塗装
ロット数 10


従来はアルミダイキャスト素材から加工していましたが、
製作数の減少や鋳型の老朽化などの理由により、削り出しでの製作に変更となった製品です。
30年以上昔に描かれた手書き図面からCAD、CAMデータを作成して製作しましたが、
隅Rや抜き勾配など、鋳物で作ることを前提として描かれた図面であったため、
若干の寸法変更をして頂き、削り出し加工を行いました。
最終検査では相手部品との現物合わせで組付けに問題ない事を確認して納品させて頂いています。

 

製品名 真鍮支え
サイズ 40×30×70
材質 真鍮:CAC403(BC3)
ロット数 5

 

従来は鋳物から加工していましたが、
製作数の減少や鋳型の老朽化などの理由により、削り出しでの製作に変更となった製品です。
こちらの製品も鋳物で作ることを前提として描かれた図面であったため、
過度にコスト高にならないよう、お客様に細部形状を変更して頂きながら削り出し加工を行いました。
鋳型などの初期費用を掛けず、短い納期で品質の信頼性が高い製品を作ることができました。

 

製品名 ハンドル
サイズ 130×230×295
材質 アルミ:A5052
ロット数 1

 

すでに量産が終了した後に、どうしても追加で1個だけ必要となり製作した製品です。
鋳型は廃棄されていたため、コストを抑えるために削り出し加工を選択しました。
複雑形状かつ寸法公差の厳しい箇所もあったため5軸マシニングセンタを使い、
可能な限り1度のチャッキングで同時加工できるよう加工方法も工夫しました。
工程設計やNCデータ作成から加工完了まで、リードタイム約1ヶ月で製作する事ができました。

おわりに

鋳物部品を削り出し加工で製作するメリットについて、金型レスによる初期費用ゼロ効果、
納期の短縮、品質の向上、供給リスクの低減といった観点から説明しました。
鋳物と削り出し加工のそれぞれの特長を正しく理解し、長期的な生産予定やランニングコストなども考慮した上で
最適な製造方法を選定することが重要になっています。

渡邊製作所では、豊富な加工実績で培った経験と技術力にもとづき、
鋳物から削り出し加工への置き換えを含めた柔軟な提案を行っています。
鋳物から削り出し加工への変更を検討されているお客様は、渡邊製作所にお気軽にご相談ください!