ガンドリル加工とは

ガンドリル加工とは「ガンドリル」を使った加工のことをいいます。
ガンドリル加工を平たく表現すると【細くて長い穴をあける加工】と言えます。
機械加工屋の間では、深穴(フカアナ)加工ともいいΦ30以下の細穴を開ける加工を指す場合が一般的です。

ガンドリルは深穴加工を専門で行うためのドリルの名称で、通常のドリルとは異なります。
通常のドリルで深穴加工を行うと、切削屑が内部で詰まり製品を傷つけたり、食いついてしまい、最悪の場合ドリルと製品の破損を引き起こしてしまいます。

一方、ガンドリルはV型の形状をしており、先端から切削油を噴射することができます。切削油を噴射することで切屑が吹き飛ぶため、食いつきなどが起こらない仕様になっています。そのため、精度よく深穴をあけることが可能になります。

加工の目的は多岐にわたりますが、代表的なものでは熱伝導性の高い銅のブスバー(bus bar)に細長い穴をあけ、中に冷却水を通し熱影響を抑制させる用途に用いられます。一般的には穴径に対して5倍以上の深さの加工を行うときにガンドリルを使います。

ガンドリルの構造

ガンドリルは先端に超硬刃部、ドリルの柄となるシャンク、シャンクを保持して加工機と接続するドライバの3つで構成されています。

ガンドリルの内部には切削油の流路があり、先端には切削油を噴射する油穴があります。シャンクの側面には切り粉を排出する為のV溝が彫られています。 

ガンドリルは、先端の油穴から切削油を噴射しながら高速回転し、切り粉をV溝で外に排出することで、深穴加工を可能としています。

高難易度を要求される、超硬刃物の研磨を社内で行っていますが刃物寿命と切削条件を考慮した切れ刃の微妙な角度設定は長年の経験による職人技と言えます。

ガンドリルマシンの構造

ガンドリルの名前の由来は、歴史的には小銃や猟銃(Gun)などの穴(Drill)を開けるために開発されました。その歴史は古く、1948年頃まで遡ります。

ガンドリルマシンは主にガンドリル、駆動装置、ガイドブッシュ、切削油タンクで構成されています。

ガイドブッシュは、加工の際に加工穴の中心軸からガンドリルがズレることを防止します。このガイドブッシュの働きにより、高精度な穴あけ、優れた直進性を実現しています。

ガンドリル加工の加工範囲

ガンドリルを交換することでΦ3から30㎜程度の細穴加工が可能です。

直進性が高い為、高アスペクト比(長辺と短辺の比率)での深さが加工可能です。
一般的に穴深さ1000㎜に対し曲がり1㎜以下が誤差の範囲となっています。
鉄、ステンレス、銅、アルミ等の様々な材質に対応可能です。当社では、最大深さ3,000mmの深穴加工を行うことが可能です。

渡邊製作所のガンドリル加工について

当社では主に、材質C1100(銅)にΦ16㎜、深さ3000㎜の貫通穴の加工を行っています。(両側から加工)
直進性を維持する為、当社の職人が工夫を凝らして行っています。
また、ガンドリル専用の研磨機も保有しており、ガンドリルの再研磨を容易に行える為、コストの削減に繋がっています。

当社は、材料から完成品までの【一貫生産体制】を得意としています。

上述の様に、ガンドリルは「深い(長い)穴」を開ける設備の為結果的に製品サイズも大きくなります。
大物製品の加工には、加工サプライヤーの手配や輸送費も大きなコストとしてのしかかります。

当社では、素材の調達は勿論、4200×2000の門型マシニングセンタを保有し、深穴加工後の2次加工を行う事が可能です。

さらに、銀メッキなどの表面処理を大型ワークに施し、完成品として納品することも出来ます。

結果として、コストは勿論。納期・品質対応も全て自社で請け負うことに繋がり、お客様は1つの窓口のみで手配が可能です。
当社はガンドリル加工を手掛けて約20年の実績があります。

過去に手がけてきた製品実績は約10,000個に達しガンドリル加工の長さを距離に換算すると、その累積距離はハーフマラソンに近い約20kmに及びます。

過去の課題解決事例

深穴加工は、刃物(ガンドリル)の径に対し、深い穴を加工する性質上、刃物の突き出し量(L)と直径(D)の比【L/D】が大きくなります。

一般的なドリルでは【L/D】の値は「5」程度が推奨されますがガンドリル加工の場合は、「100」を超えることもあります。

それ故、材質の微妙な変化が加工トラブルに繋がる事があります。
同じJIS規格の仕様範囲内でも、硬度・熱処理等の違いから加工抵抗値が増加し、異音の発生と共に加工トラブルを起こした事例が過去にありました。

その時は、加工条件(送り・回転数・吐出油圧量)の調整は勿論、素材の粒度・ファイバースコープでの加工面の観察や切粉形状の観察・熱処理での硬度の調整等をお客様と二人三脚で行い。製品を完成させた経験があります。

その他の加工

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昭和53年の創業時より、渡邊製作所は「モノづくりはヒトづくりである」と考えてきました。
製品を加工するのは機械ですが、それを操作するのはヒトです。さらに、検査や検品、出荷に至ってはヒトの力が必ず必要になります。

弊社は製品をただ単に加工するのではなく、モノづくりに携わる技術者の育成にも力を入れています。

例えば、国家技能検定や品質管理検定などの資格取得の支援や社内での品質管理教育を行っています。
お陰様で大手企業を含めた多くの企業様と取引しています。

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