鉄・鋼

鉄と鋼は鉄鉱石から作られる金属でどちらも鉄(Fe)と炭素(C)からできています。
炭素含有量は鉄0.02%未満、鋼0.02%~2%と言われています。
純鉄は酸化しやすく脆いため、そのままでは工業用製品としては使われません。

炭素を入れると鉄は強く硬くなる傾向にあるため、工業用製品としては炭素を含んだ鉄が使われています。

鋼は鉄に炭素を0.02%~2%程度混ぜた合金です。炭素の含有量によって性質が変わります。
鉄の材料としてよく使われるのが「SS◯◯」や「S◯◯C」です。SSは一般構造用圧延鋼材と言われ、◯◯部分は引張強さを表しています。SCは機械構造用炭素鋼鋼材と言われ、◯◯の部分は炭素の含有量を表しています。

鉄の材料特性
材料名 材料記号 特長
機械構造用炭素鋼 S10C S20C S35C
S45C S50C
炭素含有率 0.08 ~ 0.53%の鋼材
熱間圧延鋼板 SPHC 高温で圧延された鋼板で、酸化被膜(クロカワ)でおおわれています。
冷間圧延鋼板 SPCC 常温で圧延された鋼板で、「クロカワ」に対して、ミガキ材と呼ばれ、幅広い用途で使われます。
クロムモリブデン鋼 SCM415 炭素含有率 0.13~0.18%のクロムモリブデン鋼
SCM435 炭素含有率 0.33~0.38%のクロムモリブデン鋼
SCM440 炭素含有率 0.38~0.438%のクロムモリブデン鋼
一般構造用圧延鋼材 SS400 引張強さ400~510N/mm²の鋼材
硫黄複合快削鋼鋼材 SUMなど 切削性や加工性を改善した鉄鋼
炭素工具鋼鋼材 SK 硬さと耐摩耗性を改善した鉄鋼
合金工具鋼鋼 SKD SK材より、耐摩耗性、耐衝撃性、不変形性、耐熱性などが改善された鋼材
ねずみ鋳鉄 FC 一般的な鋳鉄。グラファイトを含有しねずみ色をしているため、ねずみ鋳鉄と呼ばれる
ダクタイル鋳鉄 FCD ねずみ鋳鉄に対して、グラファイトの形を球状にして強度や延性を改良した鋳鉄

ステンレス

ステンレスは腐食に対する耐性を持つ合金鋼で、錆びにくいとされています。
鉄にCr(クロム)を10.5 %以上含有し、さらに炭素含有量が 1.2 % 以下にすることで、腐食性の向上と同時に高強度を可能にしています。

記号はSUS◯◯◯で表され、200番台はクロム・ニッケル・マンガン系、300番台はクロム・ニッケル系、400番台はクロム系、600番台は高強度合金系と数値によって分けられています。

ステンレスの材料特性
材料名 材料記号 特長
オーステナイト系ステンレス SUS303 SUS304に比べて切削をはじめとした加工がしやすいですが、耐食性には劣ります。
SUS304 ステンレス鋼材のうち、耐熱鋼としても最も広く普及している鋼種の一つです。
SUS304L SUS304のうち、炭素の含有量を減らした極低炭素鋼です。溶接後熱処理できない部品類にも使われます。
SUS316 耐食性(特に耐孔食性)に優れる
SUS316L SUS316の極低炭素鋼で、316の耐粒界腐食性を強化したものです。
SUS317 SUS316に比べ耐食性 (特に耐孔食性)に優れる
SUS317L SUS317の極低炭素鋼で、317よりも耐粒界腐食性に優れた材料です。
マルテンサイト系ステンレス SUS420J2 焼入れ硬さが高い
フェライト系ステンレス SUS430 耐食性に優れた汎用のステンレス鋼材で、磁性があります。ただ他の鋼種に比べるとやや耐食性、加工性には劣る部分があります。
SUS434 SUS430を改良したステンレスで、430に比べて塩分に強い特徴があります。海水がかかるような状況下や自動車の外装用としても使われます。
析出硬化系ステンレス SUS630 高強度。析出硬化性を 持たせた鋼種
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